「貸す」という選択の中には「民泊」という手段もあります。耳にしたことがあるとは思いますが、馴染みのある制度ではないと思うので、そもそも「民泊」とは、どういうサービスなのかという点から紹介していきます。
■そもそも「民泊」とは何?
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いわゆるコロナ禍が始まる前の日本(特に都市部)では、東京オリンピックの開催も予定されていたため、増加する外国人観光客を十分に受け入れるだけのホテル・旅館などの宿泊施設が不足している状況でした。そこで、宿泊施設の不足を解消すべく、個人宅や空き室を利用して、有料で宿泊サービスを提供する民泊(民泊サービス)というビジネスモデルが推進され、コロナ禍が落ち着き始めた昨今では、再び注目されています。民泊は、ホテルや旅館に比べて宿泊代金が安価に設定されることが多く、外国人観光客のみならず、日本人観光客も積極的に利用することが期待されています。民泊は東京オリンピックの開催前に期待されたサービスですが、新型コロナウイルス感染症の影響で下火になっていました。しかし、今後は再び注目されるサービスになるでしょう。
■「民泊」に関するルールが整備
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以前は、日本で民泊を合法的に始めるためには、旅館業法という法律で定められている「簡易宿所営業」を行うこととなっていたため、旅館業を経営するための都道府県知事や市長・区長の許可を得る必要がありました。しかし、旅館業法等で求められる要件を満たすというハードルはなかなか高く、また、東京オリンピック開催前には外国人観光客の受け入れ態勢が不足していたこともあって、広く民泊サービスを解禁しようという動きが強まります。そして、2017年には従来禁止されていた「住宅」を利用した民泊サービスを可能とする「住宅宿泊事業」(民泊法)が成立し、2018年6月から施行されたことで、民泊サービスが行いやすくなったのです。