協定道路のメリット・デメリット



 

■協定道路はなぜ作られる?
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協定道路は、建築基準法の「接道義務」はもちろん、土地を有効活用すべく作られるケースが多いです。つまり、売主である宅建業者が費用対効果を出すためなのです。道路として作ると、市役所への申請にかかる費用や時間を要しますが、協定道路であればそういった手間がなく安価に作ることができます。そのため、宅地分譲や新築建売住宅が販売される時に作られるケースが大半を占めます。ただ、都心部でも、古くからある住宅地ではこうした協定道路は多く見られます。

 

 

 

■協定道路のメリット
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▼土地価格が安い

先にも述べたように、協定道路は宅建業者がコストをかけないようにするため作るケースが多いです。協定道路を作ることで資産価値を高め、利便性も良くなりますが、私道のような扱いなので公道を作るよりも費用がかかりません。その分、周辺の土地価格よりも安くなる傾向があるのです。

 

▼住宅環境がいい

協定道路があるということは、宅建業者がしっかり土地を整備している証拠です。そのため、良い住宅環境であることも間違いないでしょう。

 

 

 

■協定道路のデメリット
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▼住宅ローンの審査が通らない可能性がある

住宅ローンの審査は、収入や返済の安定性のほか、不動産の評価も実施します。しかし、協定道路は、道路に面した土地と比較すると売却しにくい点や買手がつきにくい点があり、不動産の評価が下がる傾向にあります。そのため、土地の評価以上の金額で借り入れを考えている場合、金融機関によっては審査が通らない場合があるのです。

 

協定を組んだ所有者間での良好な関係も求められる

協定道路は共有者間でマナーを守って利用しなければなりませんが、無断で駐輪や花壇などを置くのはトラブルに発展する恐れがあります。

 

 

 

■私道とは別物?
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私道にように扱われる協定道路ですが、私道とは別物である点についても触れて置かなければなりません。建築基準法では、特別な理由があって初めて協定道路として認められるものとなっています。

 

 

 

建築基準法で認められているのは私道
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私道には位置指定道路と建築基準法に沿った4m未満の道路の2種類がありますが、どちらも再建築する上で全く問題がないとされています。しかし、協定道路は土地の所有者同士で協定を結び、宅地を通路として使用しているため、市役所からの正式に申請をしておらず、許可も受けていません。そのため、再建築を検討しても、協定道路のみに接している土地では不可能になる場合があるのです。再建築する場合、市役所に建築基準法の道路とみなす「43条但し書き道路」として申請しなければなりません。

 

 

 

協定道路は固定資産税が非課税にならない
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私道の場合、公衆用道路として扱われるためほとんどの場合固定資産税の課税対象にならなりません。しかし、協定道路は、土地所有者が通路や私道として扱っていても所有地として判断されるため、固定資産税や都市計画税の課税対象になります。小規模住宅用地としての減税措置の対象にもならないので、固定資産税が高くなってしまう傾向があります。

 

 

 

協定道路は補助金が出ない
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協定道路は、私道を作る場合と違って市からの助成がおりません。私道の場合、建築基準補に認定しているため、不具合があれば市から助成金が出ます。修繕費用の5割~8割の割合で助成されるケースが多いです。しかし、協定道路は市に申請・許可をもらっている道路ではなく、あくまでも所有者同士で協定を結んでいる土地のため、市のからの助成もおりないのです。補助金を期待しているからと安易に協定道路を整備しようとするのはやめましょう。

 

 

 

■まとめ
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協定道路は、一般的な公道や私道とは異なり、複雑な特徴があるため、デメリットばかりに目が行きがちです。
敷地延長の土地である旗竿地という扱いなので、マイナスなイメージを持つ人がいても仕方がないのかもしれません。
しかし、冒頭でも述べたように、協定道路は新築の建売住宅として販売されるケースが多いため、トラブルを防止するための措置や協定書があることがほとんどです。
中古住宅として購入を考えているのであれば、事前に協定道路であることを十分に理解しておく必要があります。
協定道路には、土地価格の安さや利便性の向上などのメリットもあるので、よく考えて検討しましょう。