そのまま維持・管理というわけではありませんが、空き家を解体して更地にした状態で管理する選択肢もあります。その場合、駐車場として利用することで、固定資産税などの費用はまかなえるかもしれません。
■収益性は期待できないがメリットも多い
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空き家をそのままにしておくことで、倒壊や火災の危険があり、場合によっては損害賠償請求をされるリスクがあります。しかし、空き家を解体して土地(更地)の状態にしておくと、これらのリスクはなくなり、空き家を管理する労力や費用もかからなくなります。もちろん、空き家の解体には費用がかかりますし、土地上に建物がないことで、固定資産税の特例を受けることができず、納税額は高くなります。しかし、土地を駐車場として活用することで、固定資産税などの維持コストをまかなえるかもしれません。ただし、駐車場のニーズがある地域でないと賃料収入が見込めません。よって、ある程度の都市部の空き家(地)が前提です。
一般的に駐車場経営は、土地の利用効率が高くはないため、十分な収益性までは期待しないほうがよいでしょう。とはいえ、駐車場の形式によっては初期費用が少なくてすみますし、比較的、土地の形に左右されずに利用できるというメリットがあります。また、ひとまずは固定資産税を賄うため、または足しにするために駐車場にしておき、将来的に売却したり、他の活用方法に切り替えるまでの“つなぎ”としての選択もあります。
なお、駐車場と言っても、立体駐車場のような大掛かりな施設が必要なタイプもありますが、いわゆる青空駐車場のようなタイプを念頭にするのがよいでしょう。設備投資の費用が安くてすむからです。また、いわゆるコインパーキングのような形ではなく、近隣住民に月極駐車場として貸す場合には、設備としては、土地をアスファルトなどで固めて、駐車スペースのラインを引くだけですむケースもあります。
■駐車場経営の種類について
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①月極駐車場
利用者と「毎月いくら」という利用契約を結び、毎月の賃料を受け取る方式です。土地に何台分の駐車場を確保できるか、また、近隣にどれだけ駐車場のニーズがあるかによって、収益額が変動します。基本的には機械設備の必要がなく(防犯カメラ等を除く)、場合によっては、敷地の舗装も必要ではありません。いつでも始められて、利用者との契約が終了すれば、いつでも辞めることができるというメリットがあります。賃料をどのくらいに設定するかは、近隣地域の相場を参考にします。近所の月極駐車場の相場をリサーチしましょう。立地がよければ、1台分数万円の賃料も見込めます。
②コインパーキング
コインパーキングは「○分いくら」という設定で、利用者からの利用料が収入となる方式です。コインパーキングは、言わば車の出入り回数で収入が決まるので、人々が多く利用する駅や施設が近い(しかもその施設に駐車場がない)などの立地であれば、一定の収入が見込めます。最近では、あえて駅から離れた場所につくるコインパーキングも存在します。実家や友達の家や個人サロンなど、車で行っても1日300円などと安価で利用できるというメリットがあります。ただし、コインパーキングには機械の導入が必要です。自ら機械を購入して設置する方法も考えられますが、専門業者に管理等を依頼するのが一般的です。自ら機械を設置する場合は、そのメンテナンス費用等のランニングコストはかかりますし、利用者からの入金確認等の手間も発生します。
■手軽さをとるか、収入をとるか
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駐車場経営を自力で行う場合、収益はすべて自分のものとなります。しかし、設備の設置やトラブルの処理も自ら行わなければなりません。この点、駐車場の運営会社、フランチャイズ・チェーンへ加盟することで、設備の準備や保守・管理を委託した場合は、委託手数料を支払うかわりに、保守管理等の煩わしさは解消されます。また、駐車場経営を行うにあたって必要となる法律の知識(駐車場法、消防法など)や、役所への申請についても任せることができますし、心配ごとに対する相談に乗ってくれるでしょう。
駐車スペースの総面積が500㎡未満の場合や、特定の人を対象とする月極駐車場の場合、届出は不要です。500㎡はかなり広いので、通常は都道府県知事等への届出は不要となるでしょう。
また、運営会社に管理を委託する場合は、トラブル対応も任せることができます。主なトラブルは無断駐車、騒音に対する苦情、ゴミの不法投棄があげられます。管理を委託する場合は、考えられるトラブルを伝えて、その処理まで行ってもらえるかを確認しましょう。運営会社に委託する場合は、複数の運営会社に連絡をとり、トラブルへの対応、委託手数料や賃料の増減可能性、また、開業後の追加請求の有無なども比べてみることをお勧めします。
本ブログではここまで、土地を売る場合の片付けや登記の手続き、貸す場合、維持管理をする場合など、様々な場面で専門業者に相談・委託するほうが無難であることをお勧めしてきました。もちろん、専門業者に委託をすると、その分の費用がかかってしまいますが、様々なストレスから解消されるのは事実です。最大の目的は空き家の処分なのか、空き家を使って収益を得ることなのか、皆さんの根本的な目的を確定できれば、専門業者を使うのか、使わないのかの判断も容易になると思います。